こんにちは。社会保険労務士の北村恭子です。
障害年金を請求したいと考えた時、実際いくらもらえるのか確認したいですよね。
今回のコラムは障害年金の年金額についてご説明いたします。
障害年金の年金はどのくらいもらえるの?
R5年度は物価が上昇しているので、年金額も反映して増額しております。
障害年金は初診日において、国民年金か厚生年金かどちらに加入していたかによって、年金額が変わります。
*「初診日」とは障害の原因となった病気やケガについて初めて診療を受けた日です。
初診日に国民年金の加入者であれば障害基礎年金が支給され、厚生年金の加入者であれば、障害基礎年金にさらに上乗せして障害厚生年金も支給されます。
初診日において国民年金に加入していた方→(障害基礎年金編)をお読みください
初診日において厚生年金に加入していた方→(障害厚生年金編)をお読みください
まずはご自分の初診日をご確認ください。その時に加入していた年金が国民年金か厚生年金かによって、受給額が異なってきます。
障害年金の等級と年金額 (障害基礎年金編)
ここでは初診日において、国民年金に加入していた場合を取り上げます。
国から頂ける障害年金は障害基礎年金と言います。
*「初診日」とは障害の原因となった病気やケガについて初めて診療を受けた日です。
障害基礎年金は加入していた年数に関係なく定額でもらえます。
2級は、20歳から60歳まで40年間国民年金を納めた場合に受け取れる老齢基礎年金(高齢になった時の年金)の満額と同額です。
1級は2級の1.25倍です。
障害基礎年金の年金額(令和5年4月分から)
障害基礎年金1級(初診日において国民年金に加入していた)
67歳以下の方 (昭和31年4月2日以後生まれ) | 993,750円 + 子の加算額※ |
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68歳以上の方 (昭和31年4月1日以前生まれ) | 990,750円 + 子の加算額※ |
障害基礎年金2級(初診日において国民年金に加入していた)
67歳以下の方 (昭和31年4月2日以後生まれ) | 795,000円 + 子の加算額※ |
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68歳以上の方 (昭和31年4月1日以前生まれ) | 792,600円 + 子の加算額※ |
子の加算額(ある年齢の子どもがいる場合プラスしてもらえます)
2人まで | 1人につき 228,700円 |
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3人目以降 | 1人につき 76,200円 |
※子の加算額はその方に生計を維持されている子がいるときに加算されます。
子とは18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の子です。
参照:日本年金機構(障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額)
障害年金の等級と年金額 (障害厚生年金編)
ここでは初診日において、厚生年金に加入していた場合を取り上げます。
国から頂ける障害年金は障害厚生年金といいます。
*「初診日」とは障害の原因となった病気やケガについて初めて診療を受けた日です。
障害厚生年金は個人の収入に応じて年金額が異なっています。
障害厚生年金の年金額は加入期間の月数と報酬に比例して大きくなります。
障害厚生年金の年金額は2階建てになっております。
1階は1級、2級の定額の障害基礎年金。
2階は報酬に応じて計算された障害厚生年金となっています。
障害厚生年金には25年(300月)の最低保障があるため、勤続年数が25年に満たなくても厚生年金に25年加入していたものとして計算されます。
例えば、入社したばかりの新入社員が障害をおったとしても年金額は25年働いたものとみなしてくれます。
障害厚生年金の年金額(令和5年4月分から)
【1級】
(報酬比例の年金額) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(228,700円)〕※
【2級】
(報酬比例の年金額) + 〔配偶者の加給年金額(228,700円)〕※
【3級】
(報酬比例の年金額)
67歳以下の方 (昭和31年4月2日以後生まれ) | 596,300 円 |
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68歳以上の方 (昭和31年4月1日以前生まれ) | 594,500 円 |
※その方に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるときに加算されます。
障害認定日の属する月後の被保険者期間は、年金の計算の基礎とはされません。
報酬比例の年金額とは
年金額の計算の基礎となるものです。
年金の加入期間や過去の収入等に応じて決まるもので、計算方法は次のとおりです。
報酬比例 = A + B
A:平成15年3月以前の加入期間
平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入期間の月数
B:平成15年4月以降の加入期間
平均標準報酬月額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入期間の月数
平均標準報酬月額とは入社してから障害認定日の前までの間の平均額
障害年金の受給額 まとめ
障害基礎年金は定額でとてもわかりやすいのですが、障害厚生年金の受給額は、就労の経験年数、収入、さらに障害等級や家族構成などによって決定され、複雑な計算が必要になってきます。
障害厚生年金1、2級の受給者は、障害基礎年金にプラスして配偶者加給年金が加算されます。
例えば、障害厚生年金2級の方に18歳未満の子どもが2人と配偶者がいた場合は3人分の加算になります。
なお、障害厚生年金3級は障害基礎年金、子の加算、配偶者の加算がありませんのでご注意を。
参照:日本年金機構(障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額)
さいごに
障害年金は毎月定額で頂けることで、治療に専念出来ます。
障害者雇用で働いている方は、障害年金はお給料の足しになります。
将来のために障害年金で頂いた分を貯金するのも良いでしょう。
子育て中の方でしたら、障害年金を家事代行や、保育料などに使ったり、お料理するのが大変な時はお惣菜を買うなど、してご自分を労わってください。
時には美味しいものを食べたり、楽しいことをして、障害年金を息抜きに使ってもいいと思います。
何より、障害年金は経済的な安定が得られて、心の安心をもたらしてくれます。
障害年金は日常を少しでもよりよくし、自分の療養に専念できる温かい味方になります。
*年金額はR5年度のものになっています。