障害年金とは【やさしく説明します】

こんにちは。社会保険労務士の北村恭子です。

「年金は高齢者が受給する」ものというイメージがあると思いますが、国の年金制度は老齢年金・遺族年金・障害年金の3本柱になっています。

・高齢になった時の「老齢年金」

・一家の大黒柱を失った時の「遺族年金」

・病気やケガをおった時の「障害年金」

今回はその3種類のなかの「障害年金」についてです。

「障害年金」とは病気やケガをして一定の障害が残った時にその程度に応じて支給される公的年金の一つです

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。むしろ、現役世代の所得補償と考えてよいでしょう。

北村
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寝たきりの重い障害をお持ちの方のみがもらうものと思われる方も多くいらっしゃると思いますが、一定の条件を満たしていれば、ほとんどの病気やケガで受給することができます。

障害年金の種類

障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。

さて、自分が病気になったり、けがをした時にもらえるのは「障害基礎年金」か「障害厚生年金」かどちらなのでしょうか。

病気やけがで初めて医師等の診療を受けたときに「国民年金」に加入していた場合は「障害基礎年金」

病気やけがで初めて医師等の診療を受けたときに「厚生年金保険」に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。

・「国民年金」(基礎年金ともいいます)

 日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入します。

・「厚生年金」

 会社員や公務員の人が加入します。

 会社員や公務員の人は、2つの年金制度に加入していることになります。2階建て構造と言われています。

北村
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認知度も上がり、障害年金の受給者は増加しています。中でも最も多いのは精神疾患の受給者で、全体の6割を超えています。

障害年金は「現役世代」のための制度

障害年金の「現役世代」とは、「初診日」において原則として20歳以上65歳未満の方です。

「初診日」とは障害の原因となった病気やケガについて初めて診療を受けた日です。

原則として、65歳の誕生日の前日までに請求する必要があります。しかし近ごろは老齢年金の受給の繰り下げをして70歳まで働き続ける方が多くなってきました。

なので社会保険に加入している65歳以上でも「現役世代」に当てはまります。元気に働いている方が何かご病気やお怪我をした時は障害年金受給の対象になります。

障害年金の受給要件(障害年金をもらうために必要な条件)

3つの大事な要件
  • 要件①被保険者要件
  • 要件②保険料納付要件
  • 要件③障害等級該当要件

一つずつ解説しますね。

<要件①>被保険者要件

年金に加入している間に初診日があること(基本的に20歳未満に初診日がある場合は加入の有無は問われません)

被保険者要件とは「初診日」においてどの年金制度に加入していたか、です。

国民年金に加入していた方は「障害基礎年金」、会社員や公務員であり、社会保険に加入していた方は「障害厚生年金」を請求します。

<要件②>保険料納付要件

きちんと年金を納めているか(基本的に20歳未満の場合は年金を納める義務がないので、この要件は問われません)

保険料納付要件は、初診日の前日において保険料の納付要件を満たしているかどうかを見ます。

初診日の前日時点でみることが大事です

まず、直近1年で未納期間(年金を納めていない期間)がなく、納付要件を満たしているかを確認します。未納期間がある場合は全体の3分の2以上を納付しているかどうかを確認します。

北村
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保険料納付要件を満たしているか否かは非常に難しいことがあります。必ず年金事務所での確認が必要です。

<要件その③>障害等級該当要件

厚生労働省の定めている基準に達しているか

障害の状態が定められた障害等級に該当しているかどうかです。

該当するか確認する時点は「障害認定日」と現在の「請求日」です。

「障害認定日」とは、障害の程度の認定をする日のことです。

初診日から1年6か月を経過した日、またはそれよりも早く傷病治った場合(症状が固定し、治療の効果が期待できない状態を含む)はその日になります。

障害年金の受給者

障害年金の受給者数は年々増加傾向にあります。

増加している理由としては障害年金制度が広まってきて、インターネットを通じて情報が得られるようになってきているためです。

障害年金の受給者の中で最も多いのは精神疾患で、全体の約6割を占めています。

精神疾患にはうつ病、統合失調症、知的障害、高次機能障害などがありますが、近ごろは発達障害についても精神疾患として障害年金の請求が増えてきています。

障害年金の等級について

具合が悪く病院に長く通院しているが、はたして、自分は受給できるのか?

受給できるとしたら何級に相当するのか?そこが、一番知りたい内容ではないでしょうか。

障害年金の障害等級は重い方から1級、2級、3級に分けられています。

障害基礎年金は1級、2級のみ。

障害厚生年金は1級、2級、3級、さらにその下には一時金で頂ける障害手当金があります。

障害厚生年金には障害基礎年金と比べて、3級と障害手当金がありますので、より手厚いものになっています。

障害等級を詳しく見ていきましょう。

1級→他人の介助を受けなければ日常生活がほぼ出来ない状態。活動範囲がベッド周辺や基本的にベッドがある部屋のみで、ほとんど寝たきりの状態。入院や在宅介護が必要な方です。

2級→他人の助けを借りるほど重くはなくても、日常生活が極めて困難で、働くのが非常に難しい。おうちの中で軽食を作ったり、軽い活動はできるが、基本的な活動範囲が病棟内や自宅のみの方。外出時は付き添いが必要である状態。

3級(障害厚生年金のみ)→精神疾患や内部疾患では休職中であったり、短時間勤務でなければ働くことができない状態。会社から特別な配慮が必要であるなど、日常生活にはほとんど支障がないが、労働について制限がある方。

障害手当金(障害厚生年金のみ)→3級の障害よりやや程度の軽い障害が残ったときに支給される一時金です。傷病が治ったものの、就労に支障がある状態。

さいごに

障害年金の制度自体を知らない方が多いのが現実です。

今ではインターネットを通じて、障害年金の存在を知る方も多くいらっしゃいますが、まだまだ必要な方に届いていないのではないかと思っております。

障害年金の存在を知っても、難しそう、手続きが面倒だと思ってしまいますよね。

ですので、こちらのコラムではなるべくわかりやすく簡単な言葉で説明していきます。

障害年金の存在を知ってもなかなか具合が悪い中、重い腰を上げて、さあ書類を作ろうという気が起きない。

書類を作ろうと思ったが、分からないことが出てきて中断してしまい、何か月も経ってしまったなどお困りのことがありましたら、お問い合わせください。

北村
北村

障害年金に関するどんなことでもよろしいですのでお問い合わせください。
いつでもお待ちしております。